乙一「The Book」
この町には人殺しが住んでいる——。町の花はフクジュソウ。特産品は牛タンの味噌漬け。一九九四年の国勢調査によると人口五八七一三人。その町の名前は杜王町。広瀬康一と漫画家・岸辺露伴は、ある日血まみれの猫と遭遇する。後をつけるうち、二人は死体を発見する。それが”本”をめぐる奇怪な事件の始まりだった……。
親がジョジョの大ファンでアニメとか実写とかそんな話題からほど遠いころから読んでいて自身もファンを自負していたつもりだったけれど、読み逃していたこと作品でした。
乙一さんの作品もかなり好きではあるのだけれども、どうもジョジョの世界観と会わないような気が強すぎて手を出しにくかったというのも本音では少しありました。1部や2部ならまだしもかなり明るい4部ときていますしね。
ところがこれがなかなかマッチしていて読み始めたら読了まであっという間でこんなにあっさりと読めてしまうものかと驚きでした。4部のキャラクターはそのままに、かつ乙一さん特有の薄暗い独特な感じも残してあり、絞め方も非常に乙一さんらしい終わりであったように感じられる。
4部とそれから、乙一作品をもう一度読み返したくなる作品でした。