日日是好日

自身が読んだ本についての個人的備忘録のようなものです

読書日記

加藤シゲアキ「Burn.ーバーンー」

演出家として成功し子供の誕生を控え幸せの絶頂にいたレイジは、失っていた20年前の記憶を不慮の事故により取り戻す。 天才子役としてもてはやされていたレイジの現実はただの孤独な少年。突如現れ、いじめから救ってくれた魔法使いのようなホームレスと優し…

乙一「The Book」

この町には人殺しが住んでいる——。町の花はフクジュソウ。特産品は牛タンの味噌漬け。一九九四年の国勢調査によると人口五八七一三人。その町の名前は杜王町。広瀬康一と漫画家・岸辺露伴は、ある日血まみれの猫と遭遇する。後をつけるうち、二人は死体を発…

葦船ナツ「ひきこもりの弟だった」

ラスト、読む人すべての心を揺さぶる。”愛”の物語。 『質問が三つあります。彼女はいますか?煙草は吸いますか?さいごにあなたは—―』 突然見知らぬ女にそう問いかけられた雪の日。僕はその女、大野千草と夫婦になった。 互いを何も知らない僕らを結ぶのは、…

早見和真「イノセントデイズ」

田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、彼女は死刑を宣告された。凶行の背景に何があったのか。産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄、そしてあまりに…

住野よる「君の膵臓を食べたい」

ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。それは、クラスメイトである山内桜良が密かに綴っていた日記帳だった。そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて——。読後、きっとこのタイトルに…

三秋縋「いたいのいたいの、とんでいけ」

自分で殺した女の子に恋をするなんて、どうかしている。 「私、死んじゃいました。どうしてくれるんですか?」 何もかもに見捨てられて一人きりになった二十二歳の秋、僕は殺人犯になってしまった——はずだった。僕に殺された少女は、死の瞬間を”先送り”する…

米澤穂信「ボトルネック」

亡くなった恋人を追悼するために東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した……はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅に戻ったばくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もはやここでは、ぼくは「生まれ…